ベンチソファの寸法指示
公開日:
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最終更新日:2018/09/07
紹介
今年も年度末は業界はバタバタでした。
おかげ様でキコリも現場への立ち合いの依頼が多く右往左往していました。
申し訳ございません、ブログも月をまたいでしまいました。
4月中旬にベンチソファを納める機会があったのですが、無事に綺麗に納まりほっとしました。
今回はベンチソファの寸法指示の話です。
店舗イスの現場の場合、よくベンチソファーの納入があります。そのとき、左右の壁との間にベンチソファを設置するケースが多く、そのW寸法が短くて隙間が空いたり、逆に長くて納まらなかったりのトラブルが発生するケースがあります。
よく聞くことですが、ウレタンはへこむので厚いウレタンにしといて、ベンチは少しぐらい現場寸法より大きくても押し込めば問題ないでしょう、と工事の方によく言われます。しかし、製作した場合、ウレタンを厚くし過ぎると、ベンチの形状が変な締まりのないベンチになりますし、シワも目立って見苦しい仕上りになってしまいます。
一般的に、イスやベンチソファなどの家具の寸法というのは、解釈の違いはあるようですがクッションの盛り上りのTOP位置からの寸法というのが多いようです。
例えばベンチの「奥行:D」は、ソファ背の後ろのクッションの盛り上がっている部分の位置から、座の前の盛り上がっている位置までの寸法を表示します。(※また、脚が付いているソファで足先に傾斜があって、その位置より出っ張っている場合は、その分の寸法をプラスします。)
しかし工場によっては、木部寸法に内部材やウレタンの厚み分をプラスして寸法を認識している場合があります。(※SHなどの場合は、クッション性を意識してのSH寸法という表現も無いわけではありません。)
張生地も厚手のものだったり伸縮性のない生地だったり、イスの構造によっては張生地を何枚も重ねて折り返して張りあげた場合、その生地の厚さが影響して寸法が大きくなる場合があります。つまり、実際の仕上り寸法自体は、張地の折り返し止めや職人の張地の引っ張り具合によってどうしても若干の誤差がでてくるわけです。
5mm・10mmの誤差が、お互いの認識の違いでその倍の差になってしまい、ベンチソファを続けて何台も連続して置く場合には、数が複数になるためその差がどんどん大きくなって並べた場合にはトータルすると50mm・60mmの違いになるケースが発生して、クレームになったりします。また、W寸法が現場の管理の方から指示してきた場合には、その管理者の方自体が更にクリアランスを見ていた場合などは最悪の結果になったりします。
このようなトラブルを避ける為には、寸法の連絡はクリアランス無しの現場の壁の仕上り寸法を、そのまま工場の担当に伝え、クリアランスは製造工場に考慮してもらうようにするほうが問題が起きにくいようです。
また寸法は、いつの時点で決めるかの問題もあります。現場のスミ出しの時点で壁の芯材の位置に、下地材+仕上げ材の厚みを計算してベンチシートの寸法を指示する(壁の内々の仕上り寸法)場合があります。しかし、その場合、その後の現場の職人さんの精度への意識によって寸法に誤差が出るケースがあります。
スミのセンターでを意識する職人さんが勿論普通なのですが、安易に端で測り、壁からの角度も90°でなかったり、仕上げのボード貼りもジョイントの位置で段差が出ていたりと、仕事の精度が悪い職人さんだと、予定していた仕上り壁の位置が10mm~15mm違ってきたりするわけです。また、工事の途中で、やむを得ない寸法の変更があったりしてその連絡をベンチ製作側へ忘れてしまってベンチを納める本番時に気付いたりします。
そのトラブルを避けるため、壁が仕上がった段階で寸法を決めればいいのですが、その時期まで待っているとベンチの製作自体が期間的に間に合わなくなったりします。
ベンチが長すぎてしまうと、当然、寸法をカットしないと使えなくなりますし、その納期の問題も発生します。逆に、寸法が短く納まったベンチソファは、イメージダウンは勿論、その空いた隙間がゴミ溜まりになりやすくなります。
結局はやはり、よく現場サイドと仕上の細かいすり合わせをして寸法を決め、納品まで連絡を取り合っておくほうがいいですね。
綺麗に納まったベンチソファは、私たち業者にも充実感がありますし、なにより利用されるお客様が無意識のうちにお店のイメージを気持ちよく感じていらっしゃるのではと思います。
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