ベンチシートの寸法決め
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最終更新日:2025/02/06
紹介
今回は店舗のイスのなかで、ベンチシートの寸法決めについての話です。
ベンチシートの製作では、現場の寸法や採寸・型採りなどが必要な場合が多くあります。基本的にベンチシートは店舗などの広さや形状、立地条件などがそれぞれ異なる為、特にワイド(W)寸法などはその現場に合わせた寸法にするケースがほとんどです。勿論、窓の高さや柱の位置・スペースなども当然その建物でまちまちですので、ベンチシートの高さ(H)・奥行を変えるケースも多いものです。
基本的にベンチシートの寸法を決めるには、設置する場所の壁から壁の長さや高さを測ります。しかし、現場の施工手順にもよりますが、壁が出来上がってからだとオープンに間に合わなくなるケースもあります。その場合、壁のネダや軽鉄の施工が完了していれば、その後工程のボード貼りと仕上げ材の厚み分を、そこの長さから引けば壁の仕上寸法が決まってきます。
その寸法だとギリギリですので、若干のクリアランスをみてベンチシートの寸法を決めます。
たまに現場の大工さんなどから聞くことですが、「ベンチのウレタンはへこむので、ベンチシートがちょっと長くても入るでしょう!」・・・でもそれはイメージ的な事で、実際には業務用のベンチシートの場合、側面はあまりへこみません。側面には、5~10mm程度の柔らかいウレタンを入れて製作しますが、張地の厚みや張地の折り返しなどで思ったより沈まないものです。だからといってもっと厚い20mmとかのウレタンを側面に入れるとベンチの形がよれたりしがちで仕上りがあまり奇麗にならないケースが出がちです。
工期が更にタイトな場合、壁などの墨出し時にボード厚や仕上げ材の厚みを計算して、仕上がり寸法を決めてしまうという方法もあります。つまり「現場の仕上り壁を、この位置で決めて施工するので、ベンチシートはそこに入るように作ってください!」という事です。この場合、管理する方が現場の職人さんの施工をしっかりと指示・管理する必要があります。
現場は、オーナーの急な要望や建物のやむを得ない多々の事情などのよって、途中で変更を余儀なくされる場合があります。「現場は生き物だ」と言われる所以です。以前、短納期のため、同じような墨出しで寸法決めして製作したベンチシートの現場がありました。
納品当日、現場に納めているとどうしてもベンチが30mm長くて入らないという状況が発生しました。スケールでベンチを測ると、指示のあった寸法通りです。
指示いただいた内装の管理の方に報告すると、「あ~!!お宅へは寸法変更になったのを伝え忘れたよ~!」とのことでした。結局、協力工場へ頼み込み、有償で長さをカットしてもらい再納品しましたが、納期もギリギリのオープン当日の朝一になったのでした。
クリアランスは多くみ過ぎると隙間が空くし、少な過ぎると当然ですが入りません。寸法を決めても現場側が「・・・寸法指示したけど入らないと心配だ・・」と、こちらへ指示した寸法より長めに仕上げ、逆にベンチシートの製作側も「・・・心配だからもう少し短くしておいたほうが・・・」と、クリアランスのお互いの考え方が逆行すると、実際の納品時には結構短くなって思ったより隙間が空くという結果になります。
やはりこの様な現調が間に合わない場合の寸法決めは、「〇〇mmで現場仕上をするので、ベンチ製作側でベンチシートが入るようにクリアランスをみて作って!」というのが賢明なようです。また、コーナーイスをRの壁に設置する場合には、同じ型板をベニアなどで2枚製作し、1つは現場の大工さん、もう1つはベンチの製作工場に支給しお互が確認しながら進めるのが良いでしょう。ベンチ寸法には壁面の見切縁や巾木の厚みも関係してきますので注意しましょう。
また、現場の大工さんの施工精度があまり悪過ぎるとトラブルが出やすくなります。床の水平レベル、ボードの継ぎ目など壁のフラット精度、床壁や柱壁の角の直角精度などが甘過ぎると問題になる場合があります。変なところに隙間が空いたり、L形の壁が90度よりかなり鋭角に出来ていて、ベンチシートが入らなかったり、逆にギリギリ入ったけど奥が空いたり・・・。
そんな現場の場合には、ベンチの製作側だけでは解決できない問題もありますが、やはりベンチの製作リミットのギリギリ日程まで待って、再現調・再確認するのがよさそうです。
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