「密」はいい!
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紹介
最近の店舗や業務用のベンチシートは、クッション性を硬めにする傾向があります。クッション性があり過ぎると、座り心地はいいのですが、シワが寄りやすく破れの原因になります。また、その分内部の劣化も進行が進みます。
その為、業務用で使用する場合は予算も関係しますが、硬めのウレタンや、内部の構造をコンパネ下地にするケースが増えています。
見た目では柔らかそうでも、座るとかなり硬いクッション性のソファが、既製品でも稀に見うけられます。その時に気を付けたいのは、テーブルHとベンチシートの高さのバランスです。
先日納めさせていただいた現場は、店舗関係の工事の経験がほとんどない施工会社様からの案件でした。イス・テーブル・ベンチシートを選定される担当の方が、多少個性のある方で、あまりお店のコンセプトなど、家具の選定の意向がこちらではよく掴みかねるお客様でした。ご自身のお考えがあるのか、アルコールも出して接客するスペースのベンチシートをSH440に、テーブルをTH700で指定されました。一番心配だったのは、レイアウト的にベンチとテーブルの間を300mmづつ開けてのご指示です。それぞれ壁に背がつく対面のベンチの中央にテーブルがきます。確かに、お客様が席を立って出入りされるときには、300の空きがあると楽に通れますが、テーブルH700ですし、飲んだり会話するのに、間隔が空き過ぎ、またテーブルが高く感じ、会話しづらく結構違和感を感じられるでしょう。
せめて、TH620~670までの間で設定することを強くお勧めしました。
それでも上限の670だと、使えないことはないけど、高めに感じるかなと危惧していましたが、結局、ギリの670でのご回答です。
やむをえません、不便な点をお伝えした上でのご回答ですので、何かお考えがあるのだろうと自分に言い聞かせました。
納期もなく、オーダーで製作する時間もありませんでしたので、お客様のご指定されたメーカーの既製品のベンチシートとTH670のテーブルを手配しました。・・・まあ、高すぎた場合には、お客様負担になりますが、テーブル脚の支柱を短いものに交換すれば何とかなります。
気になりながらも、納品の日となりました。
ベンチを並べて、テーブルをセットしました。ベンチに座って・・・。「え~、座のクッションがかなり硬めだな~」 既製品ですしお客様が選んだものとはいえ、結構な硬さです。まあ、底当たりまではしないし、まずいと言うほどじゃないけど・・・。おそらく、コンパネ下地に硬めのウレタンフォームを厚く入れ、10mm程度の柔らかいウレタンを表面に入れたのかと推察しました。ウレタンフォームの硬さは、一般的には密度の高さが関係しています。今回は、厚くかなり高密度のウレタンチップを使ったのでしょう。
ベンチの硬さに気を取られながら、テーブルに手を置いて、ハッと気が付きました。テーブルの高さが思ったほど違和感を感じません!
そうか。ベンチが硬めのせいで座がそれほど沈まず、私が心配したまでの違和感を感じません。
よかった~、ほっとしました。
このベンチが、私が思っていた程度のクッション性があったら、おそらく違和感を感じる結果になっていたと思います。メーカー側へ、そのクッション性を問合せチェックしていなかった自分の反省もあり、結果的には無事に完了したものの手放しには喜べない自分がいました。 まだまだ、修行中ですね。
さて、季節は暑い中にも、朝晩は気温も下がって秋の気配を稀に感じられるようになってきました。コロナ禍も、まだ油断できませんが徐々に下火になってきているようです。
先日、開催された高校野球、夏の甲子園優勝校、仙台育英高校の須江監督の「青春は密なんです!」という発言が話題を呼びました。共感された方も多かったのではないかと思います。コロナ対策としてやむを得ないこととはいえ、この3年の間、「密」は悪者のように言われてきました。
もちろん青春の時期に限らず、どの年齢の方でも、人は、お互いが人間らしい喜び・悲しみ・怒り・楽しさを、真に共感できる瞬間こそ「密」な状態が多いのではと感じます。かつて、その「密」に救われた経験の方もいらっしゃるかもしれません。
私自身も、確かに、先ほどの現場では「高密度に!?」救われたのでした。
あれ?少し違ったかもしれません。
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