駅にて
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紹介
今回は、店舗のイスやテーブルとは関係ない、ある日の駅での話です。
先日、とある駅のコンコースを歩いていると、高齢の上品な雰囲気のおばあさんが、3段ほどの階段の下でキョロキョロ周りを見ています。これから行く先のことを考えて歩いていた私は、少しの違和感を感じたものの、そのまま歩いていると彼女と目が合いました。
「ごめんなさい・・・」と、おばあさんが私に小さい声で話しかけようとして、ハッと私は気づきました。彼女はキャリーバックの伸ばした取っ手を握りしめていました。小さなキャリーバックだったのですが、高齢のおばあさんにとっては引くことは問題ないが、ほんの数段の階段を上げるには重すぎたようです。
若干離れていた私は、急いで駆け寄るとすぐキャリーバックを階段の上の通路へ持ち上げました。手前の方にスロープもあったのですが、彼女の位置からは少し遠く、さらに大きな柱が死角になって見えなかったのでしょう。
階段をのぼりながら「ありがとうございます・・・。」と彼女は小さな声でお礼を言いましたが、不思議と私こそ、手助けできてありがとうという気持ちにさせられました。
たった3段の階段でしたが、人は個々それぞれの人の状況によって、気が付かないハードルがあるんだなと、改めて思い直しました。
性別・職業・立場・出身地・年齢・志向などで、自分にとっては当たり前の事が、別の人にとっては、どうでもよかったり、逆に全く駄目な場合もあるかもしれません。
お年寄りが小ぶりなキャリーバックを引いたり、前傾で押して歩いているのをたまに見かけます。腕力や足腰が弱っているお年寄りにとって、キャリーバックは必要な手荷物を持っていくのに楽ですし、前傾で押すのは歩行が楽なのと、つまずいて倒れる危険防止などの杖替わりにもなるようです。
ただ、機能はとてもいいのですが見ため的な理由で使いたがらないお年寄りも多そうです。少しづつ出てきているようですが、街中に出かけるのにもう少しお洒落な気の利いたデザインのキャリーバックが多くでてくるといいですね。
その日、用事を済ませ、別の駅のホームを帰っていました。駅は少し混んでいます。電車を乗り換えようと、次のホームへ移動しました。後ろからも別の人が続いています。ポケットで振動しているスマホが気になります。先程から連絡を待っている打合せの件かも・・・? この辺りでいいか、とホームの中央辺りへ後続を避けて進路を空けました。進路は塞いでないと思い立ち止まると、私を邪魔そうな視線を感じます。あっ、時刻表の看板の前を塞いでいました。直ぐに移動して先で大きな柱を見つけ、進む人の邪魔にならないようその柱側へ寄って通路を空けました。数人の方が行き過ぎました。さてっ、と柱に寄りかかって先ほどマナーモードで振動していたスマホを取り出し、確認しようとしました。すると、何やら私の前に女性が立ち止まって、こちらを困惑顔で見ています。えっ?どうしたっ?首を右側に動かした彼女の視線はどうも、後ろの柱へ注がれている感じです。あっ!柱に何か貼ってある!何かのポスターでした。彼女はそのポスターをよく見たかったようです。「あっ、すみません!」っと言って私は左側へ移動しようと足を踏み出しました。「あっ!」斜め後ろから来た男性にぶつかりそうになってしまいました。
う~、俺の行き場所はどこにあるんだ~!まるで、もぐら叩きのモグラになった気分。いや、俺はおじゃま虫か! いやいや、スマホの着信に焦り過ぎた私に、チョットだけ神様がいたずらをしたようです。
人の数の分だけ、個々の人の置かれた環境、関心、都合、必要性はそれぞれ違っています。
そんな中のチョットしたシーンで、あまり努力する事もなく誰かの手助けをして感謝される事もあれば、焦り過ぎて自分の事でいっぱいで多くの人の邪魔や迷惑になる場合もあるものですね。願わくば前者でありたいと願う日でした。
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