パーキングエリアと地域活性化
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最終更新日:2018/09/07
紹介
先日、東名高速パーキングエリアのフードコートの仕事をさせていただく機会がありました。
皆さんもご存じの通り、東名高速自動車道は東海道の大動脈として重要な高速道路ですが迂回路があまりなくGWや年末年始、事故などの時に大渋滞で悩まされていました。やっと長い間の懸案の第二東名が整備され、今年のお盆の時もとてもスムーズに車が流れていたようです。
私たち利用者にはとってはありがたいことなのですが、各パーキングエリアの中で仕事をされていらっしゃる方たちにとっては売上の影響が心配です。2つに分かれた場合には交通量も分散されるわけですから売上も減ってきます。どうも、お盆の時期は新旧2つの路線にほぼ均等に車の数が流れた訳ではなかったようで、新東名のほうが約65%ぐらいで、従来の東名が35%ぐらいと、かなり交通量に差があったとうかがいました。
私たちの感覚として、高速道路パーキングの店舗やレストランはお客様が道路を利用する限りは、ドライバーは一般道へ降りて休憩したりする事はなく、よほどでなければまずパーキングエリアを利用するしか選択肢がないわけですから、他のお店などと競合せずに随分いい商売だなと思いがちです。おまけに最近は各パーキングエリアもシャワールームや仮眠施設を併設するところがあったり、ドライバーにリラックスしてもらえるよう綺麗に改装したり、話題のオリジナルのファーストフードやお土産を置いたりと集客の工夫を凝らしています。また、一般道からも立ち寄れるパーキングも多くなっています。
これは、随分儲かってるだろうなと誰もが感じておられるかもしれません。
しかし話を聞くと、なかなかそう楽な商売でもないようです。もちろん利用者が多く立ち寄るパーキングはいいのでしょうが、道路の管理会社にそれなりの管理費用を毎月払っているので、今回のように新しいルートができたり、違う移動手段ができたりして交通量が激減すると売上も同じ状況になってしまいます。これが一般道のドライブインとかでしたら自分の考えや都合で改装したり自由に全てできるのでしょうが、高速道路の場合にはパーキングエリア自体が自分の物ではありませんのでどうしても店舗イスや什器・備品・内装の安全性・清潔感の維持なども含め、何かを「する」のも「しない」のも、色々な制約や許可がつきものです。
パーキングエリアの店舗の運営会社は民間からの入札で決まり一定期間で更新契約をするようですが、なかなか利益が労力に見合わず更新を取りやめるところもあるようです。
しかし、各パーキングエリアが工夫を凝らしてオリジナル品を販売したり、時には地元の野菜を販売したりしていて、私たち利用者にはとても楽しい施設になってきています。時間のないドライバーは、わざわざ一般道に降りなくても通行途中の地域の産品を手に入れることもできるわけです。最近の多くの業種のチェーン店が、本部からの統一化されたものだけで商売するのではなく、各地域の志向や特性に合わせた商品を販売するように「物や事の地域化」を進めてきています。
高速道路のパーキングもその場所の地元の方たちと一緒に知恵を絞った、特徴のある地域化施設になってくると利用者はもっと楽しく利用できるでしょうね。パーキングがその地域の特徴の小さな凝縮版(サムネイル版)になるといいかもしれません。何より、信号のない早く移動できる高速道路だから、なお更いいかもしれません。気に入ったサムネイルパーキングがあったら、次のインターチェンジで降りてゆっくり本来の「生の地域」を堪能されたらいいのでは・・・・・。
意外と、課題と言われる地域活性化の一つの切り口かもしれません。
昔から交通の要所には宿場・旅館などが栄えた経緯を考えると、パーキングエリアの果たせる役割はとても大きいのではと感じます。運営側もなかなか制約もあったり簡単ではないでしょうが、パーキングエリアが夢のある発展形の施設にもっと進化するといいかなと思います。
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