先か、後か
公開日:
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最終更新日:2022/06/30
紹介
先日、店舗のベンチシートを納入する機会がありました。
台輪を収納式にとのことで、座を脱着できるように製作しました。ベンチシートは約18mと2.5m程の長さ2か所です。壁から壁の間に納めますので、収納の台輪も分割製作です。
現調での事前確認では、内装側で壁面の左右と奥の3方向には巾木を付けないとの事でした。しかし、当日いざ納品で現場に伺うと、シッカり10mm厚でH60の巾木が壁に付いていました。
・・・聞いてないよ~~、と言っても、明日オープンなので猶予がありません。
こんなこともあろうかと・・・と思っていた訳ではないのですが、台輪の前板の左右を15mmづつ延ばしてカットできる仕様にしていました。壁や間仕切りの倒れや開きの加減を調整できるように製作し、こちら手配のベンチ取付の職人さんに、事前に台輪の現場カットを依頼していました。上部は寸法通りなので問題ありません。
さて今回の場合、現場巾木をカットするか、ベンチ台輪をカットするのがいいか?
いずれにしても台輪はカットの必要があるわけですから、巾木厚の分も切り欠ぎカットする方が、2度手間にならずに良さそうにも感じます。
2分割の2.5mの台輪から作業を始めましたが、しかし、この切り欠ぎ調整が思ったより手間がかかりました。職人さん、隙間なくピッタリと調整したいが為に、慎重に切り欠いだのが少しだけ長くて、左右が意外と合わず、ペーパー掛けでも調整できず、部分的に1.5mmほどノコで切る必要が出てきました。
この、部分的な1.5mmのカットは中々奇麗には切れません。3・4mm以上だと切りやすいのですが、このノコの厚み分ぐらいのカットは、逆に大変です。しかも、カットした台輪をコの字型の壁のレイアウト位置にセットするには、分割の台輪の最後の1台を前から押して入れるか、上から落として入れ込むしかありません。つまり、寸法的にギリギリ過ぎて、セット時に壁を傷つけてしまうかもしれません。逆に、スムーズに入れようと前板を切り過ぎると、隙間が空き奇麗な仕上がりになりません。結局、ペーパー掛けとカットで苦心して職人さん、何とかすり合わせ納めました。
しかし、ベンチシートはもう一か所あります。
「もう1か所は、壁の巾木をカットしょうか~~」職人さん、額の大汗を拭いながら方針転換です。確かにたとえ巾木と台輪を、左右計4か所カットする事になっても「カット自体」は、真っすぐで、切り欠ぎカットの調整をしなくてもいいので楽でしょう。
職人さん、「いや~、ヤスリペーパーの粗目番手を、昨日使い切って補充してなかったんだよな~。」、「台輪カットするのが絶対楽だと言いましたよね~?」と、笑いながら私。
思ったより時間がかかりそうですので、その方法に切り替える事にしました。
さて、台輪のカット設置後は、さすが手慣れた職人さん、それまでのモタモタ感を払拭するスピードで、驚くほどあっという間に上部も取付けてしまいました。仕上りも奇麗です。お客様にも喜んでいただきました。完了です。
忘れ物はないかのチェックをして後じまい。職人さんと別れ、現場から離れた有料駐車場を清算して、さ~て、帰ろうかと車に乗り込みました。
あれ?名刺入れがない!カバンのポケットを探しても見つかりません。現場に忘れたかな?
名刺入れには、¥8000近くチャージ残が残った交通系ICカードも入っていました。おかしい、どこにいったか・・・、昼食を食べたとき、たまたま名刺入れを持っていたよな~。お店に行ってみました。「いや~、こちらでは預かってないわね~」お店の女将さんも私が座った席を探してくれました。やっぱり現場かな~。現場へ戻ってみることにしました。
すると、先ほど分かれた職人さんが、知り合いの電気屋さんと長話をしながら、まだ現場前にいました。事情を聞いて、一緒に探してくれましたが見つかりません。
「バックをもう一回探してみたら!」職人さんに促され再度バックをチェック。すると、発見!! いつも入れる場所ではないノートパソコンをしまう大きなポケット奥に入っていました。ベンチの背を取り付けるときに職人さんから取付位置を急に聞かれて、慌てて図面を確認するとき、手に持った名刺入れをそのポケットに入れてしまったようです。
「〇〇さん、現場に来るのは早かったけど、帰りはモタモタだね~。今日の俺の作業と逆だね。俺ら、ちょうどいいバランスだよ。アッハッハッハ~。」
返すも言葉なく、頭を掻きながら一緒に大笑いでした。
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