日本の職人さん(建築系)
公開日:
:
最終更新日:2018/09/07
紹介
店舗イスの張替えで、営業時間外でやってほしいという話がよくきます。
営業に差支えがない店休日や店の改装・工事の日に張替えできればいいのですが、年中無休というところもあります。夜の閉店後から翌日の午前オープン前までの間で完了させてほしいという要望もたまにあったりします。さあ、困った。いす張りの職人さんは全般的に若い成り手が少なく、年齢の高い方が多い。「引き取って張替えて納品だったらいいけど。」「夜間の現場での徹夜作業はやりたくないんだよね。」やはり、作業できる張り屋さんやイス職人さんが限られてきました。職人さんも60、70歳代が多く若い年代の職人さんになる人が不足して育っていません。夜間の作業は体力の落ちた高齢の職人さんにはつらく、翌日は昼間も仕事にならず、1週間ほどしないと体調が戻りません。
建築の業界などはよく話題にのぼりますが、職人さんの不足は業界では限度を越えていて、仕事の依頼が来ても待ってもらうかお断りするしかないのが現実のようです。アベノミクスやオリンピックに向けての建築ブームはよいことでしょうが、それまでの景気の悪さで廃業・転職した職人さんも多く、当然そのなり手も少なかったわけですから、この状態が改善されるには5年程はかかるのではないかと思います。また、逆にその頃にはオリンピックも終わり景気が下がってしまうかもしれないと判断されたら、なかなか本気では増えにくく、業界はこの状態が長く続きそうな気もします。
1月ほど前、ある高齢(70歳代)の元気な職人さん(棟梁)に会ったのですが、その方は大変腕が良い方で、一人でも若い職人さんの3倍ぐらい早く、しかも綺麗な仕事をされる凄腕職人さんです。1年のほとんどは外国で仕事をしていらっしゃるとのことで、若い頃からずっとアメリカやヨーロッパなど外国の現場で日本建築の仕事(木工事)をされてこられた経歴の方です。アニメや和食、盆栽など昨今、海外でも日本ブームですが、独特の雰囲気の日本建築や和室も海外で作られているようです。
日本の木造建築の技術は、世界的にみても優れていて、またその和の風情も人気があるようです。健康にいい世界遺産にもなった和食も広がれば和風の空間を希望される案件もこれから増えてくる可能性もあります。前向きに考えれば、志向や習慣の違い、食事など多くのハードルもあるでしょうが、家具や建築以外でも日本の職人さんがもっと増えて技術を磨き合って、日本だけでなく、その優れた技術で海外でも仕事をする方がもっと増えてもいいかもしれませんね。
これは、多くの分野の若き職人さんにも言えることかもしれません。
関連記事
-
「色」は現物確認しよう!
インテリアの世界では色の重要度はかなりの比重を占めるもので、色によってがらっと雰囲気が変わると
- PREV
- 「さくら」に思う
- NEXT
- 飲食業界のワールドワイド化