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現場の採寸と型取り

公開日: : 最終更新日:2021/08/01 紹介


 東京オリンピック2020も始まりました。
毎日、熱戦の連続で、日本人選手も大活躍です。パワーをもらいますね!

 先日、いつもお世話になっているデザイナーさんの仕事で、ベンチソファを注文をいただき、採寸と型取りをする機会がありました。
今回は、ベンチシートなどの採寸と型取りの話です。

納期や現場状況にもよりますが、採寸や型取りは、できれば現場の壁がある程度できてからの採寸がいいでしょう。現場側での工事の進め方もあるでしょうが、お願いできるのであれば、ベンチシートの寸法に絡む箇所を早めに作業をお願いしたいところです。

 それができない場合には、スミ出し時期での採寸は、軽天や木軸などの芯材プラス下地材+仕上げ材の寸法を考慮して、ベンチソファの寸法などを決めますが、安易に考えると問題が発生する場合があります。もちろん、それぞれの大工さんのボード貼りや施工精度も関係してきますが、施工途中での細かい変更での連絡忘れ、壁の巾木や見切り縁への配慮不足などが出やすいものです。結果、ベンチソファや巾木・見切り縁をカットすることになったりしますので、最終の出来上がりを予想して進めましょう。

また、ベンチソファを壁のRに沿ったコーナーソファのレイアウトにしたい場合、当然、背が当たる壁面も同じRである必要があります。しかし、いざ納品の時、同じRで作ってあるはずが、ソファと壁との間に隙間が発生したりする場合があります。その場合、たとえ現場施工の壁側Rが間違っていたとしても、出来上がった壁を壊してやり直す時間もない場合が多く、ソファを現場加工して調整するか、待ったなしで工場へ持ち帰ってやり直すという状況になりかねません。
最悪オープンに間に合わない場合は、一旦とりあえず作ったソファを現場に置いて使ってもらい、その間に新しいベンチソファを製作し、交換するという、3倍以上の費用が発生するケースも全く無いわけではありません。オーダーのベンチですから、当然、交換したコーナーイスはどこかへの転用はほとんど期待できず、廃棄するしかない場合が多いものです。
型取りをミスったのか、壁のR施工精度が甘かったのか、あるいはベンチの製作が悪かったのか、そのジャッジはつけにくいものですが、どう考えてもその被害は割りが合いません。

 その対策として、たとえコーナーのRが図面の寸法上決まっていたとしても、基準の型板ベニア現物を2枚同じものを作り、1つを現場にもう1つをベンチの製作工場に支給するという方法が適切でしょう。その型板で現場と工場でチェックしながら製作すれば間違えようがない訳です。もし合わなかった場合を考え、納品時に、工場からその型板を一緒に持参すればトラブル原因のチェックも可能となります。

 今回の現場の場合には、幸いにも現場管理の方が早めに寸法や型板を採れるように、ベンチの納まる場所を施工していただけたので、余裕をもって採寸・型取りでき、スムーズにキッチリ納入・施工できました。たまたま女性のオーナーさんも顔を出されていましたが、ベンチソファが綺麗に収まったのを見て、「あら~!綺麗にピッタリ収まったわね。素敵!」とお褒めの言葉。お世話になっているデザイナーさんも、オーナーさんへ、「まるで測ったみたいでしょう?!」といつものトーク! 私も、「ありがとうございます。いえ、いえ、測ったんですよ!!」とツッコミ、www笑。

 卓球ダブルスで水谷隼・伊藤美誠ペアが、中国をはじめて破り金メダルを獲得しました。幼いころからのよく遊んだ仲とのことです。2人の実力は当然なのですが、流石にそんな息の合うお互いを理解しあったコンビ同士でもなければ、あの卓球王国の中国トップと対戦して勝利することは無理だったでしょう。
 店舗ベンチの現場では、そこまで現場・工場との意思の疎通は期待しずらいものです。工期の無いオーダーのコーナーソファの現場では、きっと、2枚のラケットよりは大きい「型板」も準備するのが無難でしょう。

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