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隙間・段差とこだわり

公開日: : 最終更新日:2020/10/05 紹介

今回は、家具と床や壁との隙間、そしてその処理・こだわりについての話です。

 床のレベルは、最近はかなり精度があがっていますがそれでも誤差が発生します。古い建物の改装の場合、床や壁のレベルを古いまま利用すると5~10mmほどの、あるいはそれ以上に誤差が発生するケースが多々あります。以前、同じSHのカウンターイスを置いたのに、カウンターイスの座り心地がかなり違うことがありました。確認すると、左右の端の床レベルが30mmも違っていたことがありました。

 先日、ある施設の飲食コーナーに、小イスとテーブル、ベンチシートを納入しました。
ベンチシートは、座下を収納にしたいとのことで、本体が動かないように床や壁面に固定しました。ベンチはW6000ほどの長さです。W寸法は壁と壁の間にピッタリです。さすが!(当たり前か) しかし、分割して製作した台輪をそれぞれ連結して1本に繋いでみると、床と壁両方に結構な隙間が発生しました。
現場の内装業者の方、曰く「この現場の床と壁は、既存にそのままボードや床材を施工したので、レベルは悪いよね。」とのこと。
前もって聞いてはいたのですが、10~15mmも隙間が出ています。「やっぱり、レベル悪かったね。この前の打合せ通りで設置しようか。」
 結局、当初の打合せでこんなこともあろうかと、台輪のほうはパッキンをかませて床固定し、その後、内装のほうでソフト巾木を台輪に回すことになりました。また、ベンチの背は壁なりに取け付て、ベンチ背の頭上に20mm厚の見切りを通してもらうことにしました。

 壁々の間にベンチを設置するときに、気を付けておきたいのは、事前に左右の壁が正面の壁と90°になっているかのチェックをする事です。若干の誤差は問題ないことが多いですが、手前側の壁々間の寸法が、奥の壁面のワイド寸法より狭い場合、正面からベンチが入らないケースがあるということです。当然、ベンチを1本で製作していた場合は、ベンチをカットしないとその場所に入らないことになります。逆に、開いていると(手前側の壁々間が長い)、ベンチは入ってもベンチの手前の壁に隙間が発生します。基本的にベンチはD600程度なので、左右の壁が正面の壁の角度と、指し金を当てて少しの誤差くらいなら気になる程ではありませんが、明らかな違いがある場合には、対応を考慮する必要があります。
最初から多少短めにベンチを製作する手もありますが、納まり感の見苦しさはともかく、隙間から物が間に落ちたりゴミ溜まりになってしまいます。

 人は、並べた物の段差や隙間・傾きを見たとき違和感を覚えるものです。個人差はあるのでしょうが、私達日本人は、外国の方に比べてそんな「こだわり」の傾向が強いといわれます。以前、海外の有名ホテルに泊まった時、部屋の壁面の巾木が端から300mm程度も手前で付いていなかったり、取れかかっていたり、高級家具の角の納めが大きく隙間が空いているままだったりした記憶があります。勿論、人によるのでしょうが一般的な日本人より外国の方は、そういう隙間などにおおらかな傾向の感じがします。

 友人と餃子の美味い居酒屋で、そんな話で盛り上がっていました。2人とも、似た職業柄、同じような場面に出くわします。「やっぱり、そんな場合の段差は技術的に仕方ない部分もあるから、底目地を入れて違和感を減らすのがいいね。」「ベンチの見切りや巾木は現場の工程の問題もからむから最初に打合せしといた方がいね。」・・・。
会話の途中、2人分の餃子がきました。「う~ん、やっぱりここの餃子はうまいね~。」餃子を食べていると、お代わりのビールがきました。
「やっぱり、ビールと餃子の出てくる間合いは大事だよ。どちらかが遅すぎると最悪!」・・・と、食通の友人らしく、こだわりを話し始めました。彼のうんちくを聞いていると、私のスマホに着信の点滅です。ちょっと席を外して、3分程度で要件を済まし、さあ餃子を食べるぞと席へ戻ると、私の分の餃子の乗っていた皿がからっぽです。「え~、俺の餃子は?」すると友人、「美味かったから全部食っちゃったよ。追加で頼んだからさ~。」「え~、待たなきゃだめじゃん。お前、自分のはともかく俺の皿の分は残しとけよ~。」っとムッと怒って、私。
「怒らない、怒らない。すぐできるって!餃子くらいでこだわらない、こだわらない!」っと、さっきまで食へのこだわりを自任していた同じ人物とも思えない返し。

・・・「こだわり」って、ある意味「わがまま」な事かもしれませんね。

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