自分だけ気付かない?
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最終更新日:2019/07/30
紹介
6月のある土曜日の夜、のどがカサつく感じがして、のど飴をくわえていました。のど飴というのは、口の中に長く辛抱強く入れていないと効果が半減します。しかし、皆さんも分かってはいても思わず「ガリッ」と噛んでしまった経験がないでしょうか。私もご多分に漏れず、その気はなかったのに「ガリッ、ガリッ」とやってしまいました。あ~、しょうがない!一度、噛んでしまうとその後は勢いがついて、ガリッ!、ボリッ、ボリッ・・・・・。 そんな「やめられない、とまらない」を繰り返していて、ハッ!と奥歯の違和感に気づきました。奥歯は、詰め物の治療をしてもらっていたのですが、噛んでいる飴にくっついて、カタカタと少し持ち上がっているようです。
結局、3年ぶりの歯医者さんとなりました。
3度目の治療の日、リクライニングの治療用チェアに寝そべって、あんぐり口を開け、歯を削る例の嫌な音を我慢していました。かみ合わせ調整で、「カチ、カチ、カチして下さい。」を何度かやって、最終調整かと思っていた時です。
急に先生が手を止めて、「あっ!」と言いながら削っていた器具を、私の口から取り出しジッとしています。え~~、先生、治療失敗したのか??・・と思っていると、先生、「シンド4ぐらいかね?」と言いました。私のほうは治療が止められて、何のことかサッパリわかりません。かみ合わせの途中だからそのことだろうか?と、「先生、かみ合わせのレベルは、シンド4が普通なんですか?」と返事しました。
静まり返っていた病院で、先生も女性の看護師さんも大笑い! 先生が「地震ですよ。ほら、照明器具みて下さい。少し揺れているでしょう。」と、笑いをこらえながら教えてくれました。
病院や美容室などの施術用イスは、同じ業務用のイスとはいっても、かなりメカ構造が計算されていて、回転や上下昇降、リクライニング機能などがスムーズにできるようになっています。そのかわり当然高価です。少しぐらい患者や医師・看護師がゆすったり当たったりしても、壊れないよう、また治療に影響が少ないように揺れを吸収・調整するようになっているようです。
そうです、その為、治療イスに寝そべっていた私には、地震の振動が全く伝わってこなくて、揺れに気が付かなかったのです。しかし、何ともトンチンカンな返事をしてしまったものでした。
まれにではありますが人は、他の人は気づいているのに自分だけが気付いていないという状況を経験することがあるかと思います。
先月のある日、仕事先に向かっていて住宅街の路地をあるいていたときのこと。私の少し前を50代くらいの男性が歩いていました。私はちょうどお客様から電話がかかってきて、スマホを取り出しました。デザイナーのお客様です。道路の右端に寄り立ち止まって、電話に応答しました。すると、あまり音はしないのですが、後ろから何か近づいてくる感じがします。右横に立ち止まっていましたので、お客様の声に対応しながら、斜め左を振り向くと、それは乗用車でした。車にしてはエンジン音がとても静かです。は~ん、きっと電気自動車か?それにしても静かだな~。と感じながら電話を終えてポケットに仕舞いました。その車は、そのまま進んで先を行く男性の横に迫っています。
「危ない!」思わず声が出ました。前を歩いていた男性が、急に左にその車の前を横切ったのです。急ブレーキで車が止まりました。「何やってんだ!危ないじゃないか!」とドライバーが声を上げています。男性も、何が起こったのかとビックリして立ちすくんでいます。私は、事故にならずにホッと胸をなでおろしました。
おそらく、男性は車が近づいてくる音が聞こえなかったのでしょう。でも、ペコペコと頭を下げて、走って行ってしまいました。
私も、この自動車のエンジン音はあまり聞こえませんでした。
自動車のエンジン音を静かにすることは、騒音対策には有効かと思いますが、反面、歩行者が近づく車の音に気付きにくく事故になりやすくはないのだろうかと感じました。
勿論、暴走族のようなけたたましい騒音も困りものですが、逆に、音がしなさすぎるのも別の問題が出てくるのではと思いました。
ふとしたタイミングの時、自分だけ気付かない、また、逆に自分だけ気付く状況って皆さんも案外ないでしょうか。さて、それは、時の神様のいたずらなのでしょうか?
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