イスの固定
公開日:
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最終更新日:2019/04/16
紹介
店舗に家具を配置する場合、よく床・壁にイスやテーブルなどを固定する場合があります。意匠的な意図の場合もありますが、スペースが狭い場合、お客様の出入りでイス・テーブルが動いて後ろを通るお客様に当たってしまったり、イスの後ろの床に段差があった場合などの危険なトラブルを防ぐ意図などもあります。
カウンターの背付きイス(一本足)の場合は、お客様が座ったり帰ったりすると、背の向きがそれぞれのイスでバラバラになって、見苦しい印象になります。それを避けるためオートリターンの機能を座裏にセットした固定イスにするケースもあります。
また、ベンチシートの場合も台輪を収納式にして固定するケースもよくあります。
イスやテーブルの固定の方法は、壁にビスが効く場合には直接ビス止めしたり、効かない場合にはボードアンカーや両面テープ・マジックテープなどと併用して接着剤で止めたりします。
床への固定の場合は、これも床の構造・仕上によりますが、アンカー、コンクリートビスなどで固定します。
昨年末、定期的にご注文をいただくお得意様からカウンターイスをご注文いただき、アンカー固定をする機会がありました。現場の工事業者さんからは、「通常のアンカー」との指示でホールインアンカーとの打合せでしたが、実際に納品の当日伺ってみますと、なんと床が300角の磁器タイルの仕上です。
磁器タイルの場合、タイルの下は砂(バサモルタル)を一定の厚み入れて施工してあります。当然ですが、砂(バサモルタル)にはオールインアンカーは効きません。砂の下のモルタル部分には効きますが、今回は用意したアンカーの長さが足りませんし、表面の磁器タイルが割れる可能性もあります。床の仕上が、途中で変更になったことと工事担当のお客様がまだ若い方で認識が足りなかったとのことでした。幸い、オープンが10日先だったのが幸いしました。日にちを改めてケミカルアンカーを準備して施工しました。
床が、磁器タイルや大理石のアンカー止めの場合は注意が必要です。ケミカルアンカーは、色々なタイプもありますが、ドリルで開けた穴に硬化剤の入った充填液を、専用のガンで充填しアンカーボルトを差し込むと約15分ぐらいで砂にしみ込んだ硬化剤が固まって抜けなくなります。また、穴を開けるドリルの刃も磁器用のタイプにしないと穴開け時にタイルが割れやすいものです。
更に、当然基本的なことなのですが、イスやテーブルを床にアンカー固定するという訳ですから、穴を開ける位置の床内部に障害となるものがあるといけません。特に水道管やガス管などが通っていては大変です。工事業者さんが床から工事をする場合、イスを固定するのが最初から分かっている訳ですから、穴開けの位置に配管すること自体が内装などの工事側の管理問題ではあるのですが、確認するに越したことはありません。
一昨年、新築の現場で固定イスのアンカー止めを施工していてドリルが水道管に穴を開けて、水が噴水のように噴き出したことがありました。これが既存の床にイスを固定する場合で、ガス管を破ったのだったら大変なことになってしまいます。(勿論、ガス管の場合は材料が硬く穴は開きにくく、元栓は締めて施工するのが当然なのですが・・・。)
何にしても、アンカー固定にする場合には、現場の工事業者の方との十分な打合せが大事ですね。
アンカー(Anchor)とは船の錨(いかり)とか、リレーの競技などで頼れる最終競技者とかに使われています。キコリも家具の頼れるアンカーになれるよう頑張りたいと思います。
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