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マンションの桜の木

公開日: : 最終更新日:2018/09/07 紹介


 中古住宅のリメイクが流行っています。
古い住宅やマンションを安く購入して、その古さを生かして自分好みのデザインや空間にリメイクするのは、価格の問題もあるでしょうが単にそれだけではない魅力もあるのでしょう。キコリも関係する店舗に使われるイスとかもヴィンテージ感のあるものは人気です。
ハウスメーカーや工務店・建築会社もそのニーズや需要の広がりに対応して専門部署などを設置しこぞって受注取込みに躍起です。

 私の住んでいるマンションもそんなニーズの若い方が最近多く入居されてきています。
ここのマンションの管理・自治は、各棟の入居の人達から選ばれた理事の方たちで運営されていて、皆さんしっかり運営して頂いているので入居の皆さんもとても助かっています。
私も管理組合がしっかりしているところと、周りのサクラの木や生垣などの植栽・建物の間の公園・広々とした自然環境なども気に入って、随分前にこのマンションを購入してリメイクしました。毎年、春の桜のシーズンには見事に咲いた桜の花の並木に心が癒され、なんとも言えない感動を感じます。

しかし、最近、そのサクラの木が何本か根元から切られたり、枝をかなり落とされることになりました。

 仕事で朝早く、また帰りも遅い生活だった私は、マンションの自治会の活動は妻に任せっぱなしで、あまり管理組合が決めていることに関心を持っていませんでした。
ある日、造園の業者が、マンション横の大きな桜の木を切っているところに遭遇しました。確認してみると管理組合の指示で作業をしているとのことでした。家内に聞いてみました。曰く、その桜の木の根が張ってきてマンションの主要な排水管・貯水槽を壊したり、地面が盛り上がってアスファルトが割れたりと、多くの管理維持費がかかるばかりか、お年寄りの人が根につまずいて怪我したりと生活環境にも問題が出てきた為、伐採することに決まったとのことでした。
そうなんだ~。色々聞いてみると、桜の木が立っている場所の問題もあってやむを得ない内容でした。建物・設備の維持と、周りの自然環境を天秤にかけざるを得ない状況が発生していました。どちらも何とかしようとすると、各家庭に数百万の出費が発生するとのことでした。

 マンションは一つの建物に多くの人が住んで生活をしています。 お金の問題か・・・・って、情けないものかもしれませんが、実際に自分の家庭にその負担があるとなると、各家庭の判断はなかなか簡単には桜の木を残そうというという結果にはならないでしょう。
また、自分の居住区画にはあまり影響がなくても他の人の居住区画には大変な問題がでている場合もあります。

 伐採された桜の木のキリカブを撫でていて、去年の春、この木の下で満開の桜の花の写真を撮ったのを思い出し、何とも言えない寂しい気持ちになりました。
土地代が高く住宅の密集した都市部では、木や植物などの自然環境を、住宅と一緒に維持するのは贅沢なことで、なかなか困難な問題が出るものだとつくづく実感しました。

 しかし、ストレスの多い現代に樹木や植物がもたらしてくれる癒しの効果は、光合成による酸素供給以上の有益な効果を人に与えてくれるような気がします。
緑との共生はもっともっと可能ではないでしょうか。建築や造園・栽培技術が進み、この都市部でも もっともっと身近に、住宅やオフィスと緑との上手な共生が進化すればいいのに、と願わずにはおれません。

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