ボルトとナット
公開日:
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最終更新日:2024/03/13
紹介
店舗用イスの業界もコロナ禍を乗り越え、忙しくなってきています。廃業していた空き店舗、休業していた店舗のリニューアルオープンが増えています。恐らく、辞めていった従業員や募集のアルバイトの確保さえ解決すれば、更に増えそうな感じがします。私たち日本人客も普通にお客として戻ってきていて、訪日外国人も増え、居酒屋も賑わっているようです。
先日の現場での出来事。今回の現場は取付内容が面倒でしたが、思っていたより順調に進み、無事に完了しました。しかし違うトラブルには少し手を焼きました。
「あの~。このボルトとナットは合ってます?ナットが回っていきませんよ。もしか、ネジタップが違ってないですかね?」と、こちらで依頼をしているいつもの作業の人が私に声をかけてきました。「そんなはずはないけどね。ナットは前回と同じやつだよ!」
イスをケミカルアンカー固定するのですが、固定したアンカーボルトにナットが回っていきません。一回りぐらいで、それ以上の手回しができないものもあります。「でも、さっきの2つは回って固定できたよね?だから寸切りボルトのネジ山が悪いんだよ!」っと私。
アンカーに使う寸切りボルトの切断面が荒く、ナットのネジ山に合ってくれないのが原因でした。しかも、80本のボルトのうち作業はじめ頃の27本がこの状況でした。結局、全てのボルトをチェックし、サンダーや工具を使ってナットが回るよう補修加工したので、余計な時間を取られてしまいました。
「悪い!手間をかけてしまったね。頼んで仕入れたメーカーに次回はちゃんと検品して問題でないよう厳重注意とくよ!」器用な職人さんがテキパキと加工してくれたので助かりましたが、毎回こんな事をやってては仕事になりません。
今回も職人さん、作業員さんも良く頑張ってくれました。でも、作業員の人達はその後、まだ遅めの別の搬入作業があるようです。
現場内で最終チェックを終えた私は、早めに帰してあげようと、外で車に残材・工具関係を積み込んでいる作業員の方達のところへ、完了と労いの声掛けに近寄りました。でも3人のうちの2人は何やら不穏な雰囲気です。若い方の作業員がリーダーの作業員に文句を言っています。どうも次の現場のことで、売り言葉が買い言葉でエスカレートしたようです。
「まあ、まあ、せっかく皆で力合せてキッチリ現場完了したんだから、お互いの失言は水に流して、気持ちよく終わって次に向かった方がいいよ。」っと声をかけました。本当はお互いはいい仲間ですから、ボルトのトゲを取って冷静になれば、ナットはスムーズに回るものです。
さて、現場を終え夕方、最寄り駅から歩いて帰宅していると、なにやら後ろから声が追ってきます。私は先ほどの現場での口論の事を考えながら歩いていました。どうやら自転車をこいでくるお母さんに、後ろに取り付けられたキッズシートに載った小さな子供が声をかけているように感じられます。「ねえ、ねえ、ねえ、お母さん!」っと、前を歩いている私の多少うわの空の頭に入ってきました。自転車は早く近づいてくるようで、その声の最後のほうがハッキリ聞き取れました。前を向いたまま自転車をこいで、「う~ん?」とお母さんが聞き返す声が、私の横を通り過ぎてはっとしました。そして、後ろに乗ったその子の「ねえ、今日のごはん、なあに~~。」という無邪気な声が遠ざかっていきました。
あまり楽しくない考え事をしながら歩いていた私は、我に引き戻された感で、ふっと暖かい思いが湧いてきました。あの子の今日の夕食は、きっと大好きなごはんになるだろうなと思いました。
そうだ、うちの今日の夕食はなんだろう?
ビールはあったよな!
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